
忙しい個人事業主にとって、経費処理を効率化できるクレジットカードがおすすめです。個人用のカードと分けるか分けないか、どちらを選ぶかによって仕訳の方法も変わってきます。
個人事業主用のクレジットカードは審査が厳しいのか、審査落ちした時の対処法について知りたい方もいるでしょう。今回は、個人事業主用のクレジットカードを使うメリットや注意点についてご紹介します。
Contents
個人事業主におすすめのクレジットカード5選
まずは、個人事業主向けのサービスが豊富なカードを厳選して5枚紹介します。ビジネスに便利な機能が充実しているので、仕事の効率化につながるでしょう。
NTTファイナンス Bizカードレギュラー for Owners
- 使用者カードは年会費無料
- Web明細編集サービスでは明細書を最大10分割
- 福利厚生代行サービス「ベネフィット・ステーション」
- カード券面に会社名を印字
NTTファイナンス Bizカードレギュラー for Ownersは、代表者も使用者も永年無料で持つことができるカードです。利用可能上限額は、40万円・60万円・80万円の3つから選択できます。
年会費 | 永年無料 |
国際ブランド | Visa |
還元率(通常) | 1.0% |
申し込み条件 | 満20歳以上の方 |
出典:https://www.ntt-card.com/biz/
三井住友ビジネスカード for Owners(クラシック)
- 国内外数1,000カ所の施設が優待価格で利用できる福利厚生代行サービス
- ビジネス優待価格のじゃらんnetホテル予約
- レンタカー優待価格などのビジネスサポートサービス
三井住友for Ownersは、審査時に通常必要な登記簿謄本や決算書の提出が必要ありません。
年会費 | 1,375円(税込)※初年度無料 |
国際ブランド | Visa
MasterCard |
還元率(通常) | 0.5% |
申し込み条件 |
満20歳以上の法人代表者、個人事業主 |
出典:https://www.smbc-card.com/hojin/lineup/business_owners_index.jsp
アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カード
- ビジネス・コンサルティング・サービス
- ビジネス情報調査代行サービス
- 「クラウド会計ソフト freee」へのデータ連携
- 全国200ヶ所以上のシェアオフィスの優待割引
アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カードは、経費・接待に関わる相談ができるコンサルティングサービスが付帯されたカードです。
臨時の出費が必要な時に備えて、一律の利用限度額はありません。設備費などで高額な支払いが必要になった時も安心でしょう。
年会費 | 34,100円(税込)※初年度無料 |
国際ブランド | AMEX |
還元率(通常) | 0.5% |
申し込み条件 | 満20歳以上の方 |
出典:https://www.americanexpress.com/jp/credit-cards/gold-business-corp-card/
freee VISAゴールドカード
- 従業員カードは最大999枚まで発行可能
- 「クラウド会計ソフト freee」へのデータ連携
- 福利厚生代行サービス割引
- 社労士・税理士への相談がそれぞれ1回無料
freee VISAゴールドカードは、開業して間もない時期でも申し込みが可能なカードです。
クラウド会計ソフトfreeeに自動で同期できるので、経理処理の負担を減らすことが可能です。電子マネーiDも搭載されています。
年会費 | 11,000円(税込)※初年度無料 |
国際ブランド | Visa |
還元率(通常) | 0.5% |
申し込み条件 | 満20歳以上の方 |
出典:https://www.freee.co.jp/finance/card/smcc/
個人用・事業用でカードを使い分ける?分けない?
個人事業主は、個人用とクレジットカードを分けた方がよいのでしょうか。ここでは、分けた場合と分けない場合のメリットをそれぞれ解説します。
使い分けるメリット
まずは、事業用と個人用を分けるメリットを解説します。
経費を管理しやすい
個人のカードで事業に使う消耗品などを購入した場合、どれが経費でどれがプライベート用なのかを整理して仕訳するのは大変な作業です。
一方、事業用のカードを分けておけば、全てを経費に計上すれば良いので管理が簡単です。
確定申告時に処理がスムーズ
クラウド会計ソフト freeeなど、確定申告の時に便利な会計ソフトは数多く販売されています。
会計ソフトを利用すれば明細の情報を自動的に処理してもらえるので、事務作業の効率化につながるでしょう。
もし個人用のものを使っていた場合、連携を行うとプライベート用の収支は手作業で除かなければなりません。
年会費を経費にできる
個人事業主用のカードを作った場合、年会費がかかることもあるでしょう。
個人事業主用のカードは事業用サービスに特化した特典が多いので、事業効率化サービスや特典割引などを受けることができます。
使い分けないメリット
次に、個人用と事業用を分けないメリットを解説します。
ポイントがまとまる
プライベートと事業用のカードを分けると、ポイントはそれぞれのカードに貯まります。
一括でポイントを貯めたい方にとっては、同じカードを使う方が良いでしょう。
年会費が2重にかからない
カードを分けた場合、年会費のかかるものはそれぞれ年会費を支払う必要があります。維持費が2重にかかってしまうので、注意が必要です。
一方、使用するカードを1枚に限定すれば、年会費も1枚分ですみます。
事業経費を個人用クレジットカードで支払う注意点
事業用に使う経費を個人のカードで支払う時に気を付けるべき点について解説します。
従業員カードを作ることができない
自分以外に従業員を雇っている場合、買い出しなどで従業員カードが利用できれば便利でしょう。しかし、個人用のクレジットカードでは従業員カードを作れません。
暗証番号を教えることはセキュリティ面でもリスクが高まるため、カードの貸し借りは止めましょう。
プライベートな支払いと混ざらないようにする
プライベートでもカードを使って買い物をする機会が多い方もいるでしょう。カードの利用明細は会員サイトなどでも確認できます。
経費と明確に分けるためには、レシートなどを保管しておくなどして一目で分かる状態にしておくことが大切です。
リボ払いや分割払いの手数料は計上する?
個人と事業用の経費の支払いがまざった場合、分割払いやリボ払いの手数料は、計上しないことがおすすめです。
ミスを避けるためにも、高額でない限りは計上しない方が良いでしょう。
個人事業主向けカードの審査は甘い?審査なしはある?
カード会社は貸し倒れを防ぐため、カードの申し込みがあった際には慎重に審査を行います。
また、個人事業主用のクレジットカードの審査基準は具体的に公表されていません。
しかし、申し込み条件を見ればある程度予測を立てることができるでしょう。例えば、三井住友for Ownersの申し込み条件は以下の通りです。
・満20歳以上の会社経営者(中小企業代表者もしくは個人事業者)の方
・パートナー会員の方は満20歳以上の役職員の方に限ります
少なくとも申し込み条件を満たしていなければ、審査に通ることはできません。
※出典:https://www.smbc-card.com/hojin/lineup/business_owners_index.jsp
審査落ちした時の対処法
審査に落ちてしまった時には、以下の対処法がおすすめです。
審査落ちの原因を突き止める
カード会社は、審査に落ちてしまった理由を教えてくれません。そのため、次の申し込みで審査を通過するためには、原因を突き止めることが大切です。
- 過去に悪質な滞納の記録がある
- 返済能力がないと判断さた
- 申し込み書の内容に不備・虚偽がある
- 本人確認ができなかった
※カード会社から審査落ちの理由は公表されていません。紹介する内容はあくまで一般的に言われていることであり、事実を断定するものではありません。
カード会社は、他社からの借り入れ状況をCICなどの信用情報機関で確認することができます。
このような場合、滞納を全て完済してから再度申し込みをしなければ、再度申し込みをしても審査に落ちてしまうでしょう。滞納の記録は一般的には約5年間残ります。
その他、申し込み書の記入内容も審査時にはしっかりチェックされます。
申し込み書を提出する前には、ミスがないか念入りに確認しましょう。
申し込みは期間を空けてから行う
上述したように、審査に落ちてしまった場合はCICなどの信用情報機関に記録が残ってしまいます。記録が消える前に他のカードを申し込めば、審査に落ちた記録を見られてしまうでしょう。
その結果、「何か原因があって審査に落ちたのではないか」と返済能力を疑われて審査に落ちてしまう可能性があると言われています。
焦って短期間で申し込みを繰り返しても、審査に通らない可能性が低いかもしれません。
個人事業主向けクレジットカードの仕訳方法
青色申告で確定申告を行う場合、帳簿を記入して提出する必要があります。その際は、個人事業主用のカードと個人のカードでは、仕訳の方法が異なる点に注意が必要です。
個人用カードの仕訳
個人用のカードで経費の支払いをした場合、引き落としがあっても特別な処理は不要です。費用の欄には「消耗品費」を、カードで支払った代金に関しては以下のように「事業主借」を記入します。
借方 | 貸方 |
消耗品費 1,000円 | 事業主借 1,000円 |
一方、個人事業主用カードの場合には別の仕訳方法があります。
個人事業主用カードの仕訳
個人事業主用のカードで経費を払った場合には、一旦「未払金」として計上します。その後、引き落とし後に「未払金」を借方に記入し、貸方に「普通預金」を記入してください。
借方 | 貸方 |
消耗品費 1,000円 | 未払金 1,000円 |
未払金 1,000円 | 普通預金 1,000円 |
ただし、上記の仕訳を下記のように簡略化することが認められています。
借方 | 貸方 |
消耗品費 1,000円 | 普通預金 1,000円 |
個人事業主向けクレジットカードによくある質問
最後に、個人事業主向けのクレジットカードについてよくある質問をいくつかご紹介しましょう。
個人事業主のクレジットカードに関するよくある質問
まとめ
今回は、個人事業主のクレジットカードについて、おすすめな理由や注意点などを解説しました。
審査の内容については具体的に公表されていませんが、申し込み条件などを確認すればある程度予測がつくでしょう。
審査落ちした時には、原因を考えることが大切です。信用情報機関に記録が残ってしまうため、再度申し込みを行う際は時期に注意しましょう。
また、個人用のクレジットカードで事業の経費を落とす際には、仕訳の方法が異なるので注意が必要です。
個人用・事業用のカードを分けるかどうかは、メリットを比べながら自分に合った方法を選択しましょう。今回解説した内容を参考に、クレジットカードを賢く活用してビジネスの効率化に役立ててください。